自転車旅行のやり方 旅中


【ルートスケジュールの机上と実際】
こんな上り坂グニャ道二度と走りたくない

行きたいところへ行けばいいのが自転車旅行の基本。でも机上と実際は違う。

3ヶ月の滞在期間でギリギリのルートスケジュールを立ててあれこれ詰め込むのは日数オーバーしないか不安。2か月間でルートスケジュールをしよう。こうすれば1ヶ月余裕ができるからのんびりと走れるだろう。…ひとまず机上ではこのように考える。

ところが実際はどうかといえば当初の予定通りに走ることは不可能。なぜなら、思いのほか疲れて連泊したり、道のりがきつくて予定走破日数より長くかかったり、事前のマップで計算した距離よりも長く走ることになったり、道路工事でルート変更させられるなどということはザラにあるから。1ヶ月の余裕があったのに、走行終盤では滞在期間ギリギリになったりする。

じゃあどうするかというと、私の場合、日数ではなくて距離で考えていた。

「アメリカでは観光の滞在日数は3か月か。3ヶ月で何キロ走れるかな?1500km/月として、4500km。500kmは誤差が出るとして、4000km以内でルートスケジュールをするか」

まずひと月1500kmという基準はどこから出てくるのか?自転車旅行者の1日の平均走行距離は、玄人になるほど短くなる。だいたい平均50~60km前後くらい。経験者ほどのんびり走る傾向にあるらしい。走るときは100km前後走るのだが、休むときは数日間長めに滞在なんていうことが多いのが原因。旅行形態に慣れているので、観光や体験などをする心の余裕があるのだろうと思うし、ガッツリ走ってガッツリ休む人が多いのかも。これを勘案すると、ひと月30日として1500kmということになる。

500km誤差というのは、大陸縦横断では1国でこの程度の誤差は普通に出るから、あらかじめ差し引いておく。

だからアメリカの例では4000km前後でルートスケジュールするのがちょうどいいと思う。横断となると6000kmにはなるだろうから、毎日忙しく、休みたくても休めないし、ちょっとした寄り道も億劫になるかもしれない。やってみると分かるが、ひと月2000kmは結構きつい。

走行距離を抑え目にするということは行きたいところすべてに行けるわけではない。妥協して走るというのはネガティブなイメージはあるが、無理して走行距離を延ばせば心に余裕がなくなってひとつひとつの体験の思い出は薄らいでいく。目標を「こなす」旅になる。これだけは避けなきゃいけない。

私の場合オーストラリア走ったときがまさに「こなす」走行だったから、ちょっと後悔している。単に自分の中の目標である「世界一周」の定義を満たすためだけに走ったようなもの。

オージーでは2か月半で4350kmだから1740km/月。やっぱり月2000kmはキツイね。

【スーパーで何を買うか】
お茶漬けの素としょうゆとマヨネーズの炊き込みご飯、約1合。昼飯

国によって物価が違うのと、生ものは傷みやすいから悩みどころだ。

食材は米、オートミール、パン、缶詰(ツナ・サーディン・豆など)、卵、じゃがいも、たまねぎ、リンゴかオレンジ。調味料は塩、砂糖、しょうゆ、ブイヨン、マヨネーズ、ジャム。嗜好品はコーヒーなど好き好き。

このあたりが無難だった。

朝食はオートミールを水でふやかしたものにジャムを加えて味付けしたのと、リンゴかオレンジを食べる。昼食は出発前にコメを炊いたものにしょうゆマヨで味付けをしたものか、パンをかじる。夕食は玉ねぎを炒めたものにトマトソースに浸かっているオイルサーディンを加え、これを少し温めて、炊いた米に加えて混ぜて食べる。

しかしこれはどう考えても一日の走行の消費カロリーと栄養素を補うだけのものを自炊で食えていない。自転車旅行者は基礎代謝分を加えて一日4000kcal消費するといわれる。特に旅行の走り始めはものすごい勢いで瘦せていくから注意。

慣れてくると体が楽をしだして消費カロリーが少なくなるのか、不思議と太ってきたりする。でもたぶんコーラの飲み過ぎが問題だったかもしれない。

マルチビタミンを携帯してもいいかもしれない。自転車旅行はビタミンの消費量が半端ないはずなので。

個人的にはお茶漬けの素とドライの味噌汁がすごく役立った。

【いかに野宿するか】

野宿ってどこの国でもグレーゾーンというか、先進国では禁止だったりする。でも自転車旅行で野宿無しで走るのはかなり難しい。

どこに張るかというのが問題だ。身を隠せるところで一晩平穏に過ごせる場所が良い。林の中でも良いし、海岸や川岸でもいい。人に頼んで敷地内に張らせてもらえるよう交渉してもいい。警察署や消防署、ガススタンドとか。人に張れる場所は無いかを聞いてもいい。

キャンプ場があれば積極的に使っていきたい。堂々と張れるし設備もあるので安眠できる。ただ、お金がかかるのが難点ではある。でもまぁこれは仕方がない。

野宿せずに「ウォームシャワー」というシステムを使っても良いし、中南米では「カサデシクリスタス」がある。

ただ、野宿には醍醐味がある。大自然との一体感。この中で飲むコーヒーが最高。

さて野宿にはどうしたってトイレは無いわけだ。小便はそこら辺にしてしまうのだが、大きいほうはどうするか。これは地面を掘って土に埋めるかした。ウユニ塩湖ではこれができないから、小便はペットボトルにして、大きいほうはビニール袋にペーパーを敷いてその中にする。ホテルに着き次第トイレにこれらを流すと。

まぁどこであろうが「ウユニ塩湖スタイル」で大小を済ませるのが理想的ではある。これは登山では当たり前のことではあるから、自転車旅行でもこのスタイルがいいだろうと思う。あくまで理想では、だが。

【外国語を勉強する】

ジェスチャーでも通用するから海外旅行は何とかなる。トイレを探すにしても、トイレマークって世界共通の感じがあるしマップで探しやすい。だから「トイレはどこにありますか?」と英語やスペイン語で言えなくても全く問題なく旅行できる。欲しいものを売っているお店だってぶらぶら歩いて探せば人に聞くまでもなく見つけられるわけだし。

ただここには何らコミュニケーションがない。街中の喧騒の中にあって孤立している感じ。それがいいならそれでもいいのだろうが、私からするとそんな人がなぜ世界を旅するのかという動機が疑わしい。サラリーマンからの現実逃避なのか、何の学びもなくただふらふらするだけならそんな自転車旅行者は立派じゃない。個人的には自転車で旅する人には立派であってほしい。

だから外国語はかならず勉強してほしい。単語を並べるだけでもいいからどうにか会話をするという姿勢を持つほうが良い。こういう努力は帰国後に活きてくると思う。コミュニケーションは積極的にとっていったほうが良い。

【ブログやSNSで旅の記録を残す】
記事の更新作業はだんだん面倒になってくる。でもしっかり残しておくとあとあと良いことがある。

帰国後に自分の旅の軌跡を振り返られるというのが一番大きい。次に仕事探しで便利になると思う。仕事を辞めて旅に出てまた仕事に就くとなれば、採用する側からすれば仕事と今の間の空白期間が気になるだろう。どんなことをしていたかの明確な説明ができるので、履歴書にURLを記載しておくと。もっとも、説明はできてもこれがプラスに働くかどうかは人事次第となるわけだが。

あと旅の記録は他人のためにもなる。良くも悪くもね。悪く働いてしまったら申し訳ないが、だからといって書かなければ良い働きもなくなる。だからひとまず書いておく。問題は悪いことは書かないということ。読み手に悪い影響を与えないような記録を書いていけば、良い働きが増長されて、悪い働きは減るはず。

ともかく書いておいて損はないということ。

【情報収集はするが半分信じない】
たとえば「コロンビアは危ない」という情報にあふれているわけですよ、ネット上には。殺人率がどうとか、この町で日本人が殺されたとか。これらは明確な数字だし事実でもあるわけなので何ら間違ってはいないが、「殺人率が高い=危険」という認識は正しくない。

コロンビアを実際に走ってみた感じでは、明らかにヤバい街は確かにあったわけだが、じゃあ何か実害を受けたかといえば何もない。大半の場所では普通に生活が営まれていて平和だったし。

何も無かったという前提には基本的な注意をもって行動しているということが大きいので、たぶんこれだろうね。注意してさえいれば、ネットで情報収集した危険事由は半分信じていればいい。過度に恐れることはない。

一応私流ではあるが、いろいろ基本的な注意を書いているので参考に。


人気の投稿