自転車旅行のやり方 旅前


自転車旅行の旅前・旅中・旅後の3回に分けてハウツーを書いておくことにする。読み手にはなんだかんだでヒントになると思うし、共感すれば自信になるし、反感すればその人は自身のやり方に自信を持つし、書いておいて悪いことは無いはず。

大陸横断クラスとかの長期旅行を前提として、「私個人の」ハウツーを書きます。

なぜこんな一言をわざわざ書くかというと、ただ自転車で走るだけのシンプルな旅行形態だけに、人によって色んなハウツーがある。だからここで良しとされていることが他の旅行者のブログではダメとされていることもあるので、まぁその恐れがありますよということをご了承ください。

さて今回は旅前について。

【お金を貯める】

普通の人は旅立ち前に仕事をやめねばならない。そうなると旅後は収入がなくなるし、旅を終えてから安定した仕事を探すのも少し時間がかかるだろう。

だから旅の資金というのは、「旅後の仕事を見つけるまでの期間の生活費」をも考えておかねばならない。そこで旅前に余裕を持って貯める必要があるのだが、ではどうやって貯めるのか?

余分に働く
諸々勘案して「3年後に旅に出ようかな」と考え至ったのなら、5年後に旅に出る。2年余分に働くことにはなるが、同時に2年分の貯蓄もできる。実際に旅に出ると、思っていた以上に資金は消えていくし旅後の生活費はそれよりもさらにかかる


装備・パーツ選定は慎重に
自転車のコンポーネントや装備品選定は、ネットの口コミと合わせて実店舗で実際に見てみるのが良い。要するに無駄な買い物をするなということ。口コミだけで買うと無駄が多くなる。私の場合10万円くらいはドブに捨てた気がする。無駄買いしなければお金は自然に貯まる


要らないものを売る
オークションとかブックオフ、リサイクルショップなどを利用して、まだ使えるけど使わないというものを売る。微々たる収益にしかならないが、お金になりさえすればそれで良い。金属・プラ製のものならサンエーパールを使って磨くと綺麗になる。綺麗になれば売値は多少上がるだろう。


実家暮らしをする
海外では社会人になっても実家暮らしというのは割と普通だったりする。日本では「体裁」とかいって親元を離れることを良しとする風潮があるが、そんな意味不明なプライドは無視して構わない。貯蓄を増やすには親とのシェアハウスがよい。月々の支払いはひとり暮らしの家賃より安く済むし、食生活の安定も得られる。年老いていく親の様子も常に見れるし合理的と思う。もちろん家事を手伝うのは言うまでもなかろう。恥だのなんだのそんなことはどうでもいい。目標を達成しよう。

仕事を辞めて長期の自転車旅行をすると言えば当然親は反対するが、実家暮らしの利点は説得から逃げられないということ。どうしたって親と顔を合わせることになる。親をどうにか説得してから旅に出よ。そうでないと帰国後に帰る場所が無くなるし、親不孝でもある。


投資で稼ぐ
これはかなり難しいことであるから貯金を増やす方法として真似してほしくはないが、一応私は投資で旅の資金の25%を作った事実があるので書いておかねばならない。私の場合先物投資の金銀プラチナで利益を上げたわけだが、株や為替と違って「売り」から取引を開始できない。空売りができない取り引き環境だったので、必然的に「安いときに買って、値が上がったら売る」しかなかった。

詳しく書くとひと記事では足りなくなるので書かないが、投資で稼ぐには練習が要る。いきなり取引を始めてもまず資金は減る。最低1年はデモ取引やMT4、フォレックステスターを使ってああだこうだと練習すること。なんにせよおすすめの稼ぎ方ではない

【走行の定義を考えておく】

走行の定義」って何なのかというと、たとえば世界一周の定義。私の世界一周の定義は、

「大西洋を挟んで2大陸、かつ赤道を通過してさらに1大陸、計3大陸を横断または縦断すること」

と考えていた。大西洋(欧米)中心の世界地図があるじゃないですか。一応自転車旅行って欧米発祥なので、あれを基準にしました。

人によっては「ユーラシア大陸と北米大陸を横断する」とか、「赤道上の地球一周距離40000kmを走ってこそ世界一周」とか、「5大陸制覇」「全ての国を走る」などなどあるかと思う。

自分の走行に意味合いを付与するとか、自信を持つとか、納得するとか、他人が何と言おうと自分の中でゆるぎない旅にするためには走行の定義付けが必要。それに旅中の目標にもなるでしょうし。自分で決めた定義を達成しない限りは納得できないわけだからね。

世界一周にこだわらずとも他のことでもいいと思う。世界の文化を何パターンかに分析してそのすべてを巡って体験する!とか。これも立派だと思う。自転車旅行はただ走ればいいってものじゃないから。どんな体験をするかということを重視しても良いよね。むしろこっちのほうが得るものは多いかもしれないと、最近思っている。

【大まかに走行ルートを考えておく】
旅前には入念な準備をしたくなるが、その準備が意味を成すかといえばそうでもないことが多い。走行ルートなんかは特にそう。旅の行程全体で何キロ走って、ここからここまで何日かかって、ここでキャンプしてなどなどいろいろ考えるわけだが、まぁ意味なかったよね。

どこを走るかは大まかに考えておけばいい。北米走ってそのまま中米南米と下がっていって、最後はオーストラリアだな!くらいでいい。あるいは観光名所に目印を付けてもいい。細かいことは行った先で考えればいい。大事なことなのでもう一度言おう。細かいことは行った先で考えればいい

【予防接種をする】

諸々の病気についてワクチン接種をしておく。狂犬病、肝炎、脳炎、破傷風、黄熱、あとはマラリア流行地域なら薬をもらっておいてもいい。

ただ、日本で接種するよりも海外でするほうが安く済むことが多い。まぁこの辺は注射器の使いまわしがないかとかの清潔面での信頼性がカギになるわけだが、心配なら日本ですべて受けると良い。

たしか日本人夫婦チャリダーがボリビアでマラリアにかかって亡くなったことがあった。予防接種は必須。

【海外旅行保険に入る】
長期自転車旅行だと選択肢が少ない。大抵が数日間の保険であって、数か月~数年の契約ができるものが案外ない。私は損保ジャパン日本興亜…だったと思うが(もう手元に資料がない)、AIUだったかな?ともかく1年半で契約した。実際の旅行期間は1年11ヶ月だったので、5か月間は無保険期間があった。

掛け値によって補償内容が変わるわけだが、携行品損害と損害賠償、治療費用の3点については特に重視して手厚くしたい。あとほかは補償が必要になることはまずないのではないか。

【年金の支払いを停止する】
国民年金だと年間で20万円近く支払うことになるわけだが、長期自転車旅行ではこの金額は結構な重荷になる。この重荷のために人生の充実度に関わる体験ができないなどというのは馬鹿馬鹿しいので、ひとまず支払いを停止する手続きを行う。

現在は過去5年間は遡って支払うことができるので、旅の遂行を優先すればいい。旅が終わったら、仕事に就き次第未納分を払っていけばいい。

ちなみに、長期的に支払わずにい続けると信用情報に関わると思われるので危険。コツコツとでも完納することが大事。一度下がった信用は取り返すのに時間がかかるものだ。

【慣れておく】
自転車
乗り慣れておくほうが良い。自転車で旅をするのだから当然ではあるのだが、ポジション決めとか体力作りうんぬんよりも、単に時間をかけて少しでも遠くへ行けるようにする。自転車と共にいる時間を長くしておく。ポジションと体力は実際に旅に出れば自然と決まってくるから心配いらない


アウトドア
ソロキャンプを経験しておくといい。楽しいキャンプをするとかではなくて、できる限りシンプルナイズドされた静かなキャンプを目指す。たとえば鍋ひとつで一食まとめて作るとか。野菜や豆を米といっしょに炊き上げれば炊き込みご飯になる。これでサラダやツマミや白米だなどと別々に作る必要が無くなる。あとはこれにリンゴひとつとコーヒーを付ければ独り飯としては十分かと思う。


自転車旅行は暇。何の変哲のない平原を延々走ったり、何一つイベント無く一日が終わったりなどということはザラにある。ブログ記事に書かれている内容は暇な中で唯一といっていいほどのちょっと楽しかった出来事だけが書かれているのであって、そのほかの大半の時間は超絶暇で、ただ無心で走り進めているというのが現実だったりする。

様々な体験をするために旅に出たのに、バックパッカーと違って自転車で旅をするというスタイルというのは、走り進めねばならない時間が一日の大半を占めるのであって、自ずからあちこちにある体験に飛び込んでいく時間がない。時間がないと聞くと忙しく思われるわけだが、走っている間は暇なのである。走らなきゃならないから毎日忙しいが、走り出したら出したで暇になる。でも暇になったからといってその間というのは自転車をこいでいるのでなにも体験しようがないし、走り終えればテントを張って食事を作ってと忙しくなる。

一体なんやねんこの旅行スタイルはって感じだが、一方で特殊なスタイルであるということをよく考えて、視点を変えねばならない。自転車旅行はそれ自体が貴重な体験なのだということをよく考えたほうが良い。苦しみ9割・楽しみ1割なんて旅、普通ないでしょ?でも楽しみ1割が濃密に凝縮された旅になるし、旅を終えると苦しみ9割が良い思い出になるのよねこれが。不思議だ。

ともかく暇に慣れておくのがいい。慣れておかないと普通の人はつまらな過ぎて目標を達成する前に辞めてしまうだろうから。

【携帯電話を解約する】
端末をSIMフリー化して、通話やデータ通信は各国でSIMを購入することでどうにかできる。それに大抵のホテルやホステル、公共施設には無料WIFIも飛んでいるし、スカイプを使えばデータ通信で電話も掛けられる。常に通話とネットに接続されている必要はないので、キャリア契約は必要ない。これで基本使用料や国際ローミングだのの支払いが必要無くなる。

【先人の旅行者たちのブログを読む】
人それぞれやりかたは違えど、共通していることは「いかに安全に楽しく快適に走るか」ということ。この人はどんなやり方でそれを実現しているのかということを見つけ出して真似すること。「自転車世界一周」で検索すると強者たちのブログが出てくるし、ブログ村にもたくさんいる。

にほんブログ村 世界一周(自転車)

私が思うに、安全対策で共通していることは反射板・反射シール・蛍光ベストなどのドライバーに対して目立つものをバッグに取り付けたり着たりしていると思う。楽しくということで共通していることは、義務感・縛りのない旅行をするということ。自分の思うところに行って好きな時に休んで好きなだけ食べること。快適で共通していることは自転車のポジショニングとハンドルとサドル、速乾性があって風通しのいい衣服。

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