自転車旅行の自転車の選び方


自転車旅行に使う自転車は荷物を積んだり、その重たい車体でオフロードを走ることがあるので旅行中のトラブルが起こりやすい。そこでできる限り頑丈な自転車を選びたいわけだ。

そこでいツーリング車を買う場合のポイントを、完成車を求める場合と、フレームやパーツをひとつずつ揃えて完組するバラ完の場合とで考えてみた。


【完成車を求める場合】
  • フレーム 
  • ダボ穴 
  • 見た目 

【フレーム】
素材はクロモリかアルミを選びたい。クロモリフレームがダブルバテッドならアルミとの重量差に大差はない。アルミだから軽いイメージはあるがそうでもない。どちらの素材がツーリング向きかと言えば、どちらを使っても問題ない。

堅牢性の点でクロモリのほうが一歩抜きんでている印象はある。あるが、実用性ではそれほど大差はないように思う。


【クロモリフレーム】
クロモリフレームの場合、大抵はロードバイク用途であってツーリング仕様は少なく、選択肢が狭い。堅牢性は最高。乗り味は巷では「しなる」とか柔らかいなどと言われているがそんなことはない。固い素材だから乗り味も固いし、しなることもない。だからこその堅牢性。

クロモリフレームはものによってはダボ穴が折れて取れることがある。溶接工は大体どの町にもいるが、海外ではやっつけ仕事であって期待できないことがしばしば。ダボ穴のほかは折れたという話を聞かないし、私が使ったオールドフレームでさえ折れることはなかった。乗り方が悪いとか荷物が重いとか、当たり前だが過負荷がかかると折れる。低品質なフレームは論外。メーカーはしっかり選びたい。

ツーリングクロモリフレームで信頼できるメーカーは以下の通り。
  • SURLY(サーリー) 
  • SALSA(サルサ) 
  • Bootleg(ブートレグ) 
  • MASI(マジィ) 
  • MARIN(マリン) 
  • TREK(トレック) 
  • GIOS(ジオス) 
  • PanasonicPOS(パナソニック) 
  • FUJI(フジ) 

個人的にクロモリフレームを探すうえで信頼できないワードは、
  • メイドインジャパン 
  • ハンドメイド 
  • フレームビルダー 

の3つ。このワードで触れ込みがされているクロモリフレームはやめたほうがいい。ハードユースでダボ穴が取れただのあまりいい話を聞かない。

アメリカ製か台湾製のファクトリー(工場)系フレームが信頼できる。日本メーカーで信頼できそうなのはパナソニックとフジくらい。

基本的に「日本製=良いもの」というイメージは誤り。


【アルミフレーム】
先進的なアルミフレームを作っているのはGIANT(ジャイアント)。有名な車体としてグレートジャーニーがあるが、海外自転車旅行者の使用率は低い。なぜか?

グレートジャーニーはフレームセットは良いのだがそのほかのコンポーネントが低グレードで、テクトロのリムブレーキなど、仕様がひと昔前のツーリング車という感じ。低価格だから手に入れやすいが、パーツ交換必至なので結果的に高額。要らないバッグやキャリアまでついてくる。

アルミフレームの場合どこのメーカーでも大差ない。たいていどのメーカーもOEM生産で、台湾のジャイアントが作っている。


【ダボ穴】
ダボ穴は無くても、ダボ穴を作るスモールパーツがVIVAやTUBESなどから売られている。だからツーリング用途でなくても自分の好きな車体を使うことはできる。

大抵のツーリング車にはキャリア取付用のダボ穴がフォークエンド、フレームエンド、シートステーに空いている。前三角内側のダウンチューブとシートチューブにはボトルケージ用の穴が空いている。

その他あると便利なダボ穴はダウンチューブの下側のボトルケージ台座や、フォーク側面のキャリア用ダボ穴あるいはボトルケージ台座があると良い。


【見た目】
景色と共に自転車を撮る機会は多い。写真は旅行の思い出を振り返るうえで欠かせないので、自慢の自転車やカッコいい自転車と共に写ったほうがいいと思う。

機能だけで選ばないほうが良い。自分が気に入った見た目の自転車を使い、愛着を持つことがとても大事。


【ホイール】
ホイールサイズは様々あるが、走る地域やブレーキの種類、リムの入手性の事情を組み合わせて考えたほうがトラブルに対処しやすい。

日本を走る分にはリムブレーキ・ディスクブレーキに関わらず、ホイール自体の入手性が良いため、何インチのホイールを使おうがかまわない。

海外を走る場合には、先進国地域なら日本を走る場合と同じ。後進国では、リムブレーキを使うなら26インチのほうがタイヤやチューブと共に依然入手性は良い。この傾向はしばらく変わらないだろう。ディスクブレーキを使うならホイールサイズは何インチのものでもいい。

どこを走ろうがよく起こるホイールトラブルはスポーク折れ。使うホイールのスポーク長を測って、何本か携帯するほうが良い。自分で修理するも店に任せるも、最適長のスポークを持っていると何かといい。

ホイールのスポーク本数は最低でも32本。ハブはシマノ。カップアンドコーンタイプのハブは、メンテナンスさえしっかりしていれば20年30年もつ。シールドベアリングだとメンテナンスができないためこうはいかない。

リムの信頼できるメーカーは、
  • SUNRINGLE(サンリングル) 
  • MAVIC(マビック) 
  • ALEXRIMS(アレックスリム) 


【統一されていないコンポーネントの場合】
完成車購入だとコンポーネントは様々なメーカーの混合で構成されている。シマノで統一したほうが信頼性は増すが、混合でも走ることはできるから無理してお金かけるまでもない。そのままでいいと思う。


【一旦バラしましょう】
完成車の組み付け精度というのはあまりよく無い。例えばネジはゆるゆるなのではなく、きつすぎるくらい締めてあるということ。きつく締める分には客からクレームは入らないから。

工具の手の入りやすい旅行前に、きつく締めあげられたネジ類を一旦外してグリスアップして組み付けること。こうすると旅行後にメンテナンスしやすくなる。

それから、ホイールハブやヘッドのベアリングの玉当たりも強めに締められていたりして動きが鈍いこともしばしばある。一旦バラしてグリスアップしてやって、適度に締める。


【バラ完の場合】
  • フレームセット 
  • コンポーネント 
  • ホイール 
  • 快適性 


【フレームセット】
バラ完の場合は自由度は高いが、フレームセットの選択肢が狭い。アルミフレームはあまりない。選択肢はクロモリフレームだけになると思う。

信頼できるクロモリフレームセットを手に入れるなら、完成車の項目で述べたメーカーで探すのがいい。

滅多にないが、イタリアン規格のボトムブラケットだったりする。これはカンパニョーロ向けであって、シマノやスラムのコンポーネントを取り付けられない。JISかBSA規格であることを必ず確認すること。

ヘッドチューブのサイズは現在の主流がオーバーサイズなので、これを選ぶ。1インチだとヘッドセットの選択肢が少ない。

エンド幅はロード向けだと130㎜、MTB向けでは135㎜。これいかんによって使用するホイールハブの軸長が決まる。自分が使いたいコンポーネントがロード用なのかMTB用なのかによって選んだら良い。

そのほかのポイントは完成車の項目で述べたのでそちらを読んでください。


【コンポーネント】
コンポーネントとは自転車パーツのこと。ここではドライブトレインやブレーキ、シフターのことをいうが、メーカーはシマノ一択で良い。スラムは雑だし、カンパニョーロは高額、さらにこの両者は入手性に劣る。

ドライブトレインは最低でもロード用ならクラリス、MTB用ならデオーレを使いたい。

シマノは低グレードでもそこそこ動いてくれるところがすごいので、この点からしてもコンポーネントはシマノ一択。

シフターはロード向けならSTIよりもダウンチューブシフターやバーエンドシフターのほうが壊れにくいと思う。故障して交換するにしてもSTIは低グレードでも1万円前後するが、ダウン・バーエンドでは安価で済むだろう。するとブレーキレバーは他社製になるが、問題はない。

ブレーキの制動は運転者の実力が及ばない。プロがかけようがアマチュアがかけようが、制動力に違いは出ない。制動力は高グレードなほど良い。そこでブレーキだけは高グレード品を使ったほうが良い。


【ホイール】
自分かプロが組んだ手組と、工場でロボットが組んだ完組とがある。ホイールトラブルは手組・完組関係なしに起こるからどちらを選んでもいいが、選択肢が多いのは手組。手組を推奨する。


・リムブレーキの場合
MTBの26インチホイールだと選択肢がほとんどない。ディスクブレーキが主流だから。ロードの700Cホイールでもスポーク本数が少ないなど適当なものがない。国内・海外の両通販サイトで見つけたと思ったら廉価なホイールで、とても自転車旅行に使えないことがほとんど。

リムブレーキホイールは、サンリングルなどのリムと使いたいシマノハブを手に入れて、自転車屋で手組みしてもらうほうが良い。信頼できる自転車屋がないなら、自分で組むのがいい。スポークテンショナーなどホイール組に必要な工具を用意するのにお金がかかるし、難易度はそれなりに高いので組むのに時間もかかるが、それだけの経験値は得られる。


・ディスクブレーキの場合
ディスクブレーキだと26インチ、29インチで選択肢が多い。スポーク本数は32本は欲しいが、完組だとなかなか無い。結局使いたいリムとハブをそろえてプロに組んでもらうか、自分で組むか。これが一番確実。

ホイールはかなり重要なので、妥協して廉価ホイールを使うと痛い目を見る。


【快適性】
体と触れるところは快適性に影響する。手の触れるハンドル、お尻の触れるサドル。それからステムはコックピット長を決めるし、サドル高も快適性として重要な要素。

使うハンドルの形状やグリップの形にはこだわりたい。フラットバーにはエルゴングリップがあるが、あれを使ったら快適になるかというとそうでもない。では普通の円柱グリップならいいのかというとそうでもない。こればかりは各々試さないと何とも言えない。

普通の円柱グリップを使うなら、アーレンキーで固定する金属タイプがいい。ゴムのものは劣化するため。

ハンドル形状は使いやすいもの、使い慣れたものが一番いい。

サドルは自転車旅行では革サドル使用率が高い。次いで柔らかいゲルタイプも多い。どちらを使うにしても、雨天走行に備えてサドルカバーが欲しい。雨に濡れることが多いとサドルは劣化する。

サドル高はハンドルバー高さと同じ程度のほうが快適性が増すと言われているが、試してみたほうが良い。サドルを下げ過ぎてペダリングしにくくなってもいけないので、そういう場合は可変ステムで高さを合わせてもいいかもしれない。

コックピット長は通常の最適値よりも短めのほうが良いかもしれない。これも試してみたほうが良い。

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