自転車旅行のテントの選び方と野宿の方法


特定の商品をおすすめする記事ではないが、どんな考え方でテントを買ったら後悔少なく、ある程度の満足と性能のあるテントを買えるのかについて考えた。さらに野宿をする場合の張り場所の選定方法についても書いた。


【テントの選び方】
【ポイント】
  • 価格 
  • 重量 
  • 設置タイプ 
  • 居住性 
  • ウォール 

【価格】
歴代の自転車旅行者が選んだテントの平均価格は大体2~4万円。予算との兼ね合いや、キャンプ泊の回数と重視するかによって5、6万円程度のテントを買う者もいるし、1万円前後の安いテントを買う者もいる。

どの価格帯のテントを買ったら正解というものは無い。旅行スタイルに応じて考えるしかない。たいしてキャンプをしないのに高額なテントを買っても意味がないし、かなりの回数をキャンプするのに安いテントを買えば使用感や重さ、収納性など不満は必ず出てくる。

では平均価格帯のテントを買えば無難かと言えば、そうでもない。なんにせよ価格だけで選ぶことは避けたい。


【重量】
これも平均重量をいうとすれば大体1.5~3.0kg程度。荷物の数は増えても持ち運ぶ面倒さえ受け入れれば構わないが、運ぶ都合上、重量は軽いほうがいい。

機能がものをいう商品では「軽い」ことは付加価値になるため、軽いほど高額になる。価格と重量はセットで考えること。

すると安くて軽いものを探す者もいるのだろうが、それはやめたほうがいい。安物買いの銭失いになるだろう。軽いものが欲しければお金を出すこと。ここにしっかりと付加価値を見れない人はテントのほかに何を買おうが失敗するだろう。

軽いテントと重いテントがあった場合、軽いほうがより良いかと言えばそうでもない。軽いテントがなぜ軽いのかということを考えなければならない。

軽いテントは使っている生地を薄くしていたり、ジッパーを小さくしてプラ製の噛み込みにしていたり、ポールにスカンジウムを使っていたりしている。

しかし基本的に生地は厚いほうが丈夫だし、ジッパーは大きくて金属の噛み込みのほうが壊れにくいし、スカンジウムよりアルミのほうが耐久力がある。

軽くすればそれだけ耐久性が無くなる。これは裏腹になっていることに注意しなければならない。つまり、高額だから良いものかどうかは分からない。


【設置タイプ】
ポールを立てればペグダウンせずともテントが立つ自立式と、ペグダウンしないとテントが立たない非自立式の2種類がある。

自転車旅行では自立式の一択で良い。設営が簡便で、非自立式よりもストレスがない。

一方で、非自立式はいつでもしっかりとテントを立てる必要があることとその低めの形状の都合上、風には強い。テントの大敵が強風であることを考えれば、風に強いことは大きなメリットになる。

ただし走る地域次第。年中台風並みの強風が吹くパタゴニアや山頂付近では活躍すると思うが、林の中などで野宿する場合には木が防風してくれるから意味がない。


【居住性】
持ち運ぶ荷物の量によって、1人用と2人用を選んだら良い。荷物が少ないなら1人用、多いなら2人用。ドーム型かそうでないかは特にこだわる必要はない


【ウォール】
フライシートのないシングルウォールと、インナーテントにフライをかけるダブルウォールの2種類がある。

重量はシングルウォールのほうが軽い。夜露を防いだり雨などに対する耐水性能はダブルウォールのほうが良い。

シングルウォールは前室がないことが自転車旅行では大きな欠点と思う。荷物が多いと前室にも荷物を置く必要があるほか、雨天のキャンプでは前室で調理をする必要がある。ダブルウォールのほうが利点は多い。


【その他】
自転車旅行者の大半はテントを使うたびにメンテナンスすることはしない。そのために劣化しやすく、年間100回程度のキャンプで保って1~2年間程度。

劣化する部分はまずインナーとフライシートの防水性が無くなる。次にフロアの生地に穴が空く。さらにジッパーが閉まらなくなったり、生地がほつれてくる。

それでもフライシートの防水性さえ保てばどうにか使い続けることはできるため、捨てるのがもったいなく思う人は防水スプレーなどをフライシートに吹いておくのがいい。生地が濡れることによる悪影響は長旅になるほど大きい。




【野宿のやり方】
【ポイント】
  • 人目に付かない 
  • 所有地 
  • 地形 
  • 虫 
  • 風 

【人目に付かない】
これがまず一番大事。夕方ごろに走りながらテントを張れる場所がないかを探すわけだが、どのようにして目星を付けるかと言えば、人目に付かないか否か。

およそ旅行中のトラブルの大半は対人関係で起こる。だから人目に付かないことがトラブル回避になる。

林の中や車道から遠く離れた場所、草むら、橋の下など。荒野では人目に付かないところはまずないので、できる限り車道から離れたい。


【所有地】
当たり前だが所有地には張れない。特に日本の場合大半の土地が誰かしらの個人所有地になっている。そして基本的に世界中どの国でも野宿は禁止かグレーゾーン。だからキャンプ場を使うのが一番。

ただ、自転車旅行の特性上野宿やむなしなことが多い。周囲に所有地しかなく、キャンプ場もない場合は、例えば日本では思い切って人に聞く。

かくかくしかじかでこういう旅をやっていまして、一晩テントを張れる場所はありませんか?と。すると大抵の場合あそこ張ったらいいよなどと、自宅の敷地内や空き地に案内される。

この方法は海外でも通用する。たとえばガソリンスタンドや警察署、消防署、病院などで。

パタゴニアのようなだだっ広い荒野や川岸の場合はどこに張ろうが怒られることはまずない。まずないが、一応グレーゾーンということは意識しておく。夜中にお巡りさんが来たら、一晩だけと頼み倒すと、日本の場合には見逃されることもあるが、海外では通用しない。見逃されることを期待しない。

私の場合、日本では大抵キャンプ場を利用したが、ときに道の駅の隅とか、県境の峠道の町看板の装飾として植えられていた植込みの裏とか、海岸、公園のトイレ裏などに張って旅行した。


【地形】
張る場所のめどが立ったら地形を見る。というのも、夜中に雨が降ったときの水の流れや増水のあるところには張らないようにしたい。

水の流れは地面に筋があったりする。頻繁に増水しているところでは植物が生えていなかったりする。

崖近くの草むらに張る場合には、地面が見えないためにどこから崖が始まっているのか見分けがたい。車道から遠く離れた奥に張ろうとズンズン進んでいったら崖から落ちたなんてことは気をつけたい。


【虫】
一番気をつけたいのはアリ。アリの巣の上にテントを張ることにはならないようにしたい。次に蚊。水場に近い草むらなどでは蚊の巣窟となっていることがある。そういう場所に張ることは避けたい。


【風】
風の強い場所にテントを張ることは避けたい。突風にテントが引きずられたりひっくり返ったりする。風よけになるものがあるかどうかが大事。建物や木々、大きな岩、くぼ地など。

無い場合はペグダウンは当然として、張り縄を使う。そこそこ重い石や自転車に張り縄をして風上に配置する。

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