海外自転車旅行に必要な予防接種とは

予防接種
普通の短期海外旅行なら不要の予防接種でも、長期旅行や自転車旅行では必要になります。衛生的な状態を維持することが難しいほか、医療施設の質が悪いとか、医療が乏しい地に赴くことがあるからです。



長期海外旅行に必要な予防接種の種類

以下が一般に海外自転車旅行に必要とされるワクチンの種類です。
  • A型肝炎(主に経口摂取で感染。食べ物や水など)
  • B型肝炎(主に性行為で感染)
  • 破傷風(傷口から感染)
  • 狂犬病(狂犬病に感染している犬やその他動物にかまれるなどで感染)
  • 黄熱病(蚊によるウイルス媒介によって感染。アフリカや南米で流行。)
  • 日本脳炎(蚊による日本脳炎ウイルス媒介によって感染。アジア地域で流行)
渡航地域に応じて、流行の程度を見て接種するものを選択します。上記他、例えばポリオが流行していたなら接種が必要です。

日本脳炎についてはアジアを旅するなら必要になります。他は全て世界的流行をしているもののため接種は必須です。

ただしB型肝炎は血液や性行為など感染経路が特殊なことから、接種しない人もいます。輸血や注射針の使い回しでも感染します。



どこで接種できるのか

クリニック受付
日本よりも海外で摂取する方が安く済みます。ただし衛生環境は日本の病院よりも悪いのと、詳しい接種上の注意点が外国語で説明されるため理解不十分となる恐れがあります。接種後に何か問題が起こっても、説明を外国語で行う必要があります。

予防接種は完全予約制の場合が大半です。各都市の保健所や病院、クリニックで受けられます。費用は自費で健康保険の適用外、またワクチンの価格は需要の増減の影響を受けるので時価となることもあります。



ワクチン接種は自費負担

ワクチン接種は自費負担のため、海外旅行保険に次ぐ高額出費となりますが、命に関わる病を予防できるなら安いものです。必ず受けておきましょう。



接種スケジュールに注意!

接種を複数回行うことで免疫を得ることができます。A型肝炎や狂犬病は通常3回接種で、3回目が半年後となるため、旅行出発日から逆算して余裕のある予防接種スケジュールを立てましょう。

黄熱病の接種は保健所のみで行うことができるもので、病院やクリニックでは扱えません。また黄熱病のワクチンは他のワクチン接種から7日経たないとできませんし、黄熱病ワクチンの接種後4週間は他のワクチン接種ができませんので注意が必要です。保健所によっては渡航間近(1~2ヶ月前)にならないと接種してくれないこともあります。1回接種で充分な免疫を得られます。

幼児期に麻疹のワクチンを打ち、以降接種していない人はこれも必要です。幼児期に接種している人は、追加接種は1回で済みます。ただし、麻疹は黄熱病同様生ワクチンで、接種後4週間は他の追加接種はできないため、接種スケジュールに注意が必要です。



その他予防接種の注意点

予防接種
最も恐ろしいのが狂犬病です。発症したら最後、100%死にます。しかし治療は不可能ですが予防はできます。ただしこの予防は不完全で、狂犬病の疑いのある犬やその他動物に噛まれたりなどした場合、複数回の追加接種を要します。

狂犬病は旅前に3回接種を済ませておくと、追加接種の回数が少なく済みます。旅の間はどんなに可愛くても動物に触れないようにすることです。

加えて、近年では風疹の予防接種も受けるようにと厚生労働省が言っています。というのも、20~30代の世代は幼児の頃に受けて以来、風疹の予防接種は受けていないことがほとんどなため、免疫が弱まっているとのこと。海外でも風疹は流行しています。現在の中高生以降は学校で受けているため問題ないです。

さらに、ジフテリアや百日咳も受ける方が良いです。特に百日咳は死亡率が40%と高めです。破傷風と合わせた3種混合(DTP)ワクチンをおすすめします。接種経験のある人は1回接種で済みます。
錠剤
予防接種で予防できないものにマラリアがあります。蚊の媒介で感染すると言われており、長期滞在では防ぎようがないものです。

マラリアの予防法は錠剤の服用です。自転車旅行では毎日服用するものと、週に一回服用するもののどちらかを選ぶことになるでしょう。短期旅行では毎日、長期旅行では週一が良いと思いますが、週一服用タイプは副作用が強めというデメリットがあります。

しかし、例えばマラリアの流行地域に半年滞在すると、毎日服用タイプでは渡航前後も含めて200錠は必要になりますが、週一服用タイプは30錠程度で済みます。マラリアの予防薬は海外でも入手できますが、信頼できるかどうかです。できれば日本国内で入手して持参する方が良いと思います。



私が旅前に受けた予防接種

黄熱病イエローカード
私は以下のワクチンを接種し、マラリアの予防薬を携帯します。
  • A型肝炎 (3回接種)
  • B型肝炎 (3回接種)
  • DTP (1回接種)
  • 狂犬病 (3回接種)
  • 麻疹 (1回接種)
  • 黄熱病 (1回接種)
  • マラリア (週一服用錠剤)
私の場合、風疹は幼児期に掛かり完治して免疫を獲得しています。こういう方法で獲得した免疫は一生有効だそうで、接種不要とのことです。また、日本脳炎は幼児期に接種している他、流行地域への渡航がないため、接種不要になりました。

DTP・風疹・麻疹は海外旅行に関わらず、日本で生活するにも必要です。接種した方が良いと思います。

ワクチンの価格は受ける場所によって様々です。狙い目は市や県が運営している病院です。私が受けた病院は狂犬病ワクチンの価格が7500円であり、一般クリニックのおよそ半額です。

これら各ワクチン接種に関わる病気については必ず調べて知識を心得ておきましょう。

自転車旅行に必要な海外旅行保険とは


自転車旅行は英語でAdventure Cyclingと言う通り、Adventure・冒険であり、危険を冒す旅です。旅行というと楽しいお気楽なものという印象がありますが、自転車による旅は実際には苦労と危険が多いわけです。

そのため、自転車旅行は思い付きでやるものではなく、しっかりとした準備が必要です。その準備のひとつに「保険」があります。旅行中の事故や病気、盗難に対処する上で必要になりますし、安心快適な走行をする上での支えになります。

特に海外を自転車で走るには、短期・長期問わず「海外旅行保険」が必要です。


【海外旅行保険とは】
海外旅行保険では、海外旅行中の損失や治療でかかった費用を保証してくれる制度です。
  • 傷害死亡(怪我や事故で死んだ場合)
  • 疾病死亡(病気で死んだ場合)
  • 後遺症(怪我や病気で後遺症を受けた場合)
  • 入院治療(怪我や病気で入院治療を行った場合)
  • 携行品損害(旅行の荷物が故障した・盗まれたなどの場合)
  • 救援(僻地への旅行で遭難したなどで救援を頼みその費用が生じた場合)
  • 損害賠償責任(旅行先で事故を起こしたなどで賠償責任が生じた場合)
これらが主な補償内容です。これら個々にどれだけの掛け金をするかによって、保険料額が決まります。


【補償期間】
海外旅行保険の期間は数日から3ヶ月(92日)が普通です。長期海外旅行となると1年単位が必要なため、保険会社から断られることも少なくありません。その場合は保険屋に直接相談に行くことになります。


【死亡保険金】
死亡保険金は自分が死んだ場合に親族が受けとるお金です。掛けないこともできますが、海外から母国へ遺体を輸送する費用や、葬儀や火葬等の費用を親族が負担することを考えると、掛けるべき保険です。


【後遺症】
後遺症は怪我や病気によって不自由となる能力が生じることです。これによって中途帰国した場合、勤め先が決まりにくくなることがしばしばあります。就職活動の間の生活費の他、通院治療の費用をこの保険金で賄うことになるでしょう。これの必要性については、予算次第かと思います。


【入院治療】
入院治療は怪我や病気等で掛かった治療費です。自動車に轢かれたとなれば、軽くても全身打撲と骨折で2~3ヶ月の入院が必要でしょう。また、自転車旅行でよくあることはマラリア感染等で腹痛や頭痛で入院するということです。療養費は高額になることが多いので、これも掛けるべき保険です。


【携行品損害】
携行品損害は自転車やカメラ等が故障したり盗難にあったときに受けられる補償です。全ての荷物が盗まれたとして30万円の保険金がおりれば、旅の継続は可能でしょう。注意すべきは、物品ひとつにつき10万円を限度に補償するということが多いことです。15万円のノートパソコンが盗まれても、受けとる保険金は10万円であるということです。これも掛けるべき保険でしょう。


【支援】
支援とは、人気の無い広野で怪我や病気をした際の救助要請に掛かるお金を補償するものです。例えばヘリコプターを使うことになった場合は数百万円という高額な費用を負担することもあります。自転車旅行は冒険旅行ですから、掛けておくことをお勧めします。


【損害賠償責任】
損害賠償責任は他人のものを壊してしまったり、あるいは傷害を負わせてしまった場合の補償です。これは一千万円単位で掛ける場合が多いことから分かるように、超高額の負担となることが多いです。必ず掛けておきましょう。


【保険料額】
自転車旅行者が払う保険料額は1年当たり12~15万円程度が相場です。これを目安に上記補償に掛ける金額を調整するのが普通です。予算があれば手厚い補償にできますし、無ければ少し制限した補償で組めば良いわけです。

もっとも、目指すべきはノートラブルです。補償を受ける状況にならないことが一番です。そのためにどのように行動すべきか。旅の間は常に緊張感を持つ必要があります。

保険料額が高いか安いか、損か得かは人それぞれですが、冒険旅行で背後に安心があることは得だと思いますよ。


【最低限掛けるもの】
自転車旅行では入院治療、携行品損害、損害賠償責任の3つはかなり重要です。

病気の治療にはお金がかかります。手持ちの金品が盗難にあうことがあります。人に怪我を負わせたりものを壊した場合の賠償額は高額になります。

逆に、死亡保険金は要らない。旅をする上で死ぬことを考えるバカはいません。アントニオ猪木さんは試合前のインタビューで「戦う前に負けること考えるバカがいるかよ!」と言ったので、まぁそういうことです。

【近況報告】1級時計修理技能士になっています【仕事・趣味・旅行】

もう自転車旅行から帰ってきて8年半も経つとは驚きで早すぎると思うし、一方で旅の記憶は少しずつ薄らいできており、この点で年月の経過を感じる。 だからこうしてブログとか、Youtubeに旅の様子を残してきて良かったなと思う。苦しいことばかりだったと思うが、今ではいい思い出。 さて現在...