588~593日目【アルゼンチン】Ushuaia (ウスアイア)へ パタゴニアの風に勝つ 南米終了

2015年1月17日~22日
南米終了までの戦いと出会い。


 今回は一日ごとに追った詳細な書き方はしません。そこは簡単にして、何を考えながら走ったかをなるべく書きたい。6日分なので長いです。ちなみに587日目はリオガジェゴスでだらけただけなので割愛します。

 さて、南米が終わったんですよ!

ヽ(^o^)丿ヤッター!!!

【走行ルート】
 リオガジェゴスからウスアイアまで約600km。6日で到達したい。今の時期は南西か西南西の強い風が吹くみたいだから、ハード走行を覚悟。7日かかるかも…


 初日・2日目は向かい風オンリーの辛い走行。チリに入国したあと野宿して終わり。走行距離は初日72km、2日目76km。辛い走行でも悪くない距離を出せたのは、単に走行時間を長くしたから。10時間走りました。

いざ、フエゴ島へ


 3日目はパタゴニアの風との最終決戦と言っていい日でした。爆風吹きまくりの消耗戦。セロソンブレロ以降はアルゼンチンのイミグレまで未舗装路になる。Onaisinという交差点までは舗装工事を終えた道を進めた。自動車には開放されていないが、通行止めを無視して舗装路を走れる。Onaisinの小屋まで走り切る。走行距離は98km、走行時間はこの日も10時間超え。


 4日目はスーパー追い風が吹いてリオグランデまでの130kmを走り切る。アルゼンチンのイミグレまでの未舗装路でタイヤにバースト箇所を発見し、ラパスで買った超厚のパンクパッチを2重にして塞ぐ。バーストパンクは起こらなかったから良かった。なんとかウスアイアまで保って欲しい。

北上組チャリダーと

 水も食料も今日の行動用を除いて残っていない。昨晩の夕飯と今朝はパスタ・米を炊いてケチャップとマヨネーズをかけただけのもの。チリのイミグレに売店があったので、チリペソを使い切ってデカいサンドイッチとチョコレート菓子を買った。サンドイッチにかぶりついて至福の時を過ごす。

トモさんの自転車

 リオグランデでは日本人チャリダーのトモさんに出会いました。彼のことはお宿桜子で話に聞いていたし、会えたのが嬉しかった。以降ウスアイアまでペアランする。

 5日目は雨天で、でも追い風少々。継続走行距離40kmという自己記録更新。3時間近く立ち止まらずに走っていたことになる。トルウィンにあるサイクリスト御用達のパン屋で終える。北上組南下組多数のサイクリストが揃う。走行距離108km。ここのパン屋は私史上最高。レベルが高い。




WIFIあり

 6日目の最終日は晴天時々曇り、向かい風。気温は指先が痛くなるくらい寒い。峠を越えるとウスアイアまでもう少しだが、アップダウンの地獄になる。トモさんと話す。辿り着けるかお互い心配する。




 どうにかウスアイアに到着!南米が終わった。

トモさん


 トモさんと感慨にひたる。特に彼は旅の終わりでもある。次のある私はオーストラリアのダーウィンで、今彼の感じていることが分かるのでしょう。

 宿は通称「イルダおばちゃんの家」。行くと出かけているらしく、寒風に吹かれるなか1時間待つ。レストランは高いし、チャリダーはエネルギー消費半端ないだろうからと言うので、夕食を作ってくれた。案内されて座ったらイルダおばちゃんが忙しなく動き回って目の前にたくさん食べ物が出てくる。イルダおばちゃんは母の様な人。

走行距離: 590km
積算走行距離: 23144km


【考え事】
 南米終了は通過点だから思い入れは薄い。とも考えていたけれど、フエゴ島に渡ると「あと少し」の思いが強くなりました。特にリオグランデからはさらに強く。

 コロンビアのカルタヘナから12000km走って来て、残り200km。地図を見れば感動的なほど、南米の末端にいる。

 道も風も寒さも辛いけれど、燃えるものがある。ウスアイア到達への前進力が自然と湧いてくる。苦しみは微細であると感じる。

 北上組の新品ツーリングバイクを見ると、これから彼らが経験するであろう苦労を想像する。第一に苦労を思うくらい、自転車旅行というのは楽しいものではない。

 アウストラル街道で会ったカトリック、そしてウスアイアでのイルダおばちゃんが言っていたけれど、Aprender (学べ), Tiene que dar (与えろ)というのが大事。これは仏教の智慧とも一致する。

 エンターテイメント・楽しみとしての自転車旅行は人生に何も生まない。かと言って苦労すれば何か得られるのとも違う。特に自転車旅行での苦労は暑さ・寒さ・悪路・向かい風など、それは用意されたものであって、自ら目的を持って作ったものではないから意味が無い。

 イルダおばちゃんは、

「人は毎日お金のために働いている。お金は生活に大事、でも稼ぐだけの人生は何になるの?学びと与えが大事。それが第一で、次に働きがある。私は英語を学んでいるし、来てくれたお客さんに無料で食事を与えている。そのために働いている」

 自転車旅行者は日々何気なく走り、与えられることが多い。何を学んでいるのか、与えるということがあるのか、こういう疑問を持ち、実践に反映させていく知恵を南米走行で得た。これは自分の中ではかなり大きな出来事。私が人やチャリダーを見る時の基準にもなっている。

 帰国後の働き方に影響を及ぼすことは必至で、さっきも言った通り、学びと与えが第一で、そのために働くということ。お金はあとから付いて来るから気にしない。あとから付いて来ることを期待した働き方もしない。

 最近は若手の日本人チャリダーが増えていると感じるけれど、エンターテイメント、そして学ばないということが無いように注意した方がいいとアドバイスしておきます。ヘラヘラしたり文句を垂れまくる自転車旅行者は不要です。私はそういうチャリダーと話したくないし、会いたくもない。自転車旅行というものを汚して欲しくない。

 学び、感じたことを日本に持ち帰って活かす。イルダおばちゃんは実際に会った日本人や日本のニュースを聞いて我々に心を感じると。日本人は他国の文化や言葉を学んで帰るのだから、旅行が働きのひとつになっているとも言いました。

 海外の人は出会った日本人を見聞きして、日本という国に対して印象を持つわけですから、海外旅行中は日本の代表者としての意識が少なからず必要。だからちゃんとしましょう。観光気分に学ぶという意識を取り入れて、世界の模範になれるように。

 定年後にアフリカを旅する時にはスーパーでお菓子をたくさん買って、小さな田舎町で配ってみるのも良いな。今まで散々貰ってきたから、お返しをする機会を人生のどこかで作りたい。

 ウスアイアに到達、南米縦断を達成して得られたものは大きい。とても大きい。

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