539日目【アルゼンチン】Neuquén (ネウケン)にて グーグルマップで分析する

2015年11月30日
グーグルマップを見る。経験上の判断。

現代バックパッカーの旅の仕方を変えたグーグルマップ

 ネウケンに関するサブタイトル無しというほど何もない日でした。実は散歩をしたくらいで終えたのです。

 そこで、私がグーグルマップのデータを自転車旅行の観点からどのような分析・考察をして、対策を立てているのか、書いておきましょう。

【グーグルマップとは】
 グーグルが無料提供している世界シェア1位のデジタルマップです。GPSによる位置情報サービス、商店やホテル情報を店舗オーナーが追加できるプレイス、経路案内のナビゲーション、その道と周囲を360度のリアル目線で見ることができるストリートビューなど、充実の内容。


【どのようなデータを取得するのか】
 オンラインでマップを起動すると、各主要都市と幹線道路のデータが自動でダウンロードされ、キャッシュに保存されます。キャッシュにしてしまえばオフラインでもマップを見ることができます。ダウンロードデータはマップを拡大するほど詳細になります。

 自転車旅行目線でダウンロードする情報は以下の通り。

  • 道路 (主要及びローカル)
  • 滞在予定の町の詳細 (ホテル・ATM・通り名・スーパーなど)
  • 地形図
  • 航空写真
  • 位置情報


【道路の分析とブッシュキャンプ】
 道路は目的地へどの道を通ったらいいか確認のためのほかに、目的地までの距離計算に使います。ストリートビューがあれば写してみて、舗装の具合、路側帯の広さ、ブッシュキャンプの隙の有無を見ます。

右下に定規の表示。目分量で大体の距離を見れる

 自転車旅行だと大事なのはオフラインでの距離計算です。これは今日の走行でどこまで走れるかということと、明日のスケジュールを立てるのに使います。走る距離は100km近い、あるいはそれ以上なので多少の誤差はどうでもよく、計算は大まかに地図端にある定規で行えば十分です。

 ストリートビューで路面を確認してみて未舗装なら他の道を選択します。経験上、未舗装でも舗装の迂回路を行くより距離が短く済むなら、未舗装を行くほうが気持ち的に楽です。もちろん天候のことも頭に入れておきましょう。雨天なら未舗装は避けて舗装の迂回路を選択した方が良いでしょう。

ストリートビュー

 路側帯の有無や広さは走行における快適さと表裏なので、走りやすいのか、それとも自動車のプレッシャーを受け続けるのかの精神関連の判断材料になります。

 ブッシュキャンプの隙を見ることも大事です。ストリートビューで道両端の草木の高さや密度、柵の有無、川岸を確認します。

 草木が低ければ車道から見えてしまうでしょうし、密ならテントを張るスペースが無いでしょう。柵があって、それが車道に近いならブッシュキャンプの隙は無いということです。川岸があればキャンプのいい機会になります。

 ブッシュキャンプの場所を探すときには治安の問題も頭に入れておきましょう。車道から少し見えてしまっていても、周辺の治安が良い、あるいは経験上大丈夫であると判断できるなら、張ってしまって問題ないでしょう。

 ただし、ストリートビューは写真ですので奥行き感がないのと、撮られたその時を写しているのであって今はどうなっているか分かりません。結局は実際の走行においてその時々判断していく他ありません。この判断は経験が物を言います。事前の分析というのはこの点で不正確であると覚えておくことです。


【町の分析】
 滞在予定の町の詳細はホテルが最も重要です。あちこち走り回って探すのは疲れますので、迷わずホテルINするには予め目星を付けておくのです。ひとつ目星を付けておくと、地図上に表示されていない別のホテルも見つけやすくなります。ホテルというのはある程度のブロックに集中していることが多いのです。

 走行終了後には何か食べますね。レストランやスーパーの位置も知っておきましょう。大都市なら適当に町ブラすれば簡単に見つかりますが、ちょっとした田舎だと見つけにくいものです。地図上にスーパーの情報がのっていない場合、メインストリートとその1ブロック脇道がどこになるのかを地図から予想しておきます。

 例えば中南米では教会のある広場が中心でその周囲いずれかの道、カナダやアメリカでは幹線道路沿いがメインストリートです。レストランやスーパーはメインストリート沿いか、1ブロック外れた場所にある確率が高いので、中心の把握あるいは予想というのは大事です。


【地形図の分析】
 グーグルマップでは地形図のダウンロードが可能です。

現在地エリアの地形を見ると、大体どういう道を走ることになるか予想できる

等高線と標高表示

 地形図は主に標高の変化を見ます。どの程度標高を上げるのか、また標高の変化を想像して、予め頭にアップダウンを仮想しておきます。

 標高の変化、獲得標高は疲労と密接な関係があります。平坦なら淡々と走り進められますので疲労は少なく済むでしょう。獲得標高は1000mを超えると疲労著しい体感となります。

 地形図を見るということはその時の疲労を予想するということです。疲労に応じた飲食物の購入量を決める手がかりになります。疲労著しい予想をしたなら、走り始める前にコーラや水、クッキー、パンを少し多めに買いましょう。疲労を癒やすのは食事しかないのです。


【航空写真の分析】
 これは簡単です。通過する町をひとつずつ写してみることです。

名前の表示はあるものの、実際には何も無い

 これがなぜ必要かというと、地図上に名前が表示されていても、実際そこへ行くと何も無かったということがよくあるんです。また、町の道路が表示されなくても意外と大きな町だと確認できたりします。

 必要性として最も大きな要素は補給が可能かどうか。小さな町ではできないこともあります。地図上に名前があるからといって期待してはいけません。航空写真でチェックするのがいいでしょう。


【位置情報】
 最後に位置情報です。グーグルマップのGPSは位置に関してはおおむね正確です。走行中に自分がどこまで走ってきたかを確認するのに役立ちます。

下部の青い点が現在地。都市部ではとても有効に働く

 これを地形データと合わせて見ることで、峠越えの際に自分のいる所の標高が分かります。あと少しで峠越えだというように、キツイ道でのモチベーション維持にとても有効です。

 また、都市部の複雑なブロック割りなどではいま自分がどの道にいるのか分からなくなります。GPSで位置を捕捉すると迷いません。


【経験上の判断】
 自転車旅行でこれが有効になる時は、ブッシュキャンプの場所選定と治安、走行のスケジューリングです。

 ブッシュキャンプでは場所選定にコツが要るのですが、よく知られているのは車道や人から隠れられる陰に張るというもの。これは基本ではありますが、経験を積むと丸見えでも大丈夫という確信が生まれることもあります。

 根拠を問われると困るのですが、ひとつには人を見るということ。ブッシュキャンプの最大の障害は人だからです。周囲の人を見て、例えば商店で買い物をしてみてスタッフに笑顔が多いとか、散歩している人達に落ち着きがあるとか、ごく平凡な日常の風景が展開されているとか、夕方の暗い時なのに子供たちがサッカーで遊んでいるとか、ゴミが散乱していないとか、「ここは問題ないだろう」と思わせる要素が多ければ、まず大丈夫。通行人にテント張れる場所はないかと聞く。

 悪人の多い町というのは例外無く荒れているということも覚えておきます。

 町ではない荒野や平原では、車道を照らす光源がなく夜は真っ暗になるとか、自動車の通行が少ないとかなら、こういう所も大丈夫。

 だからと言って丸見え野宿はおすすめしません。陰に隠れるのが基本です。先ほども言ったように、人が最大の障害なのですから、その遭遇リスクを下げることを常に頭に入れておきましょう。

 走行のスケジューリングで働く経験上の判断とは、天候でしょうね。風向きと降雨。雲行きとか、雲の流れる方向とか、雲の色、遠方の空気の濁りの程度を見ます。雲の色とは、真っ白な雲は問題ないでしょう。黒い雲は雨を降らせる確率が高い。遠方の空気の濁りとは、もし雨が降っていれば、遠方には霧が発生しているかのような曇りがあるでしょう。その曇りが自分に近づいているのか、離れていくのか。天候は走行距離に直結するんですよ。


 最後に、数少ないネウケンの写真を。ほんと少ないし、大したことないのね。
ネウケンの教会

美術館。行こうと思って行かなかった

ビッグマックのセット、93ペソ。日本より高いかな?初めてマクドナルドで1000円以上使った

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【近況報告】1級時計修理技能士になっています【仕事・趣味・旅行】

もう自転車旅行から帰ってきて8年半も経つとは驚きで早すぎると思うし、一方で旅の記憶は少しずつ薄らいできており、この点で年月の経過を感じる。 だからこうしてブログとか、Youtubeに旅の様子を残してきて良かったなと思う。苦しいことばかりだったと思うが、今ではいい思い出。 さて現在...