2015年10月10日~12日
宝石の道を知った日々。
宝石の道を知った日々。
宝石の道突破についての経験は、まとめ記事として後々記します。その他の宝石の道記事ではその時考えたことや感じたことを中心に書いていこうと思っています。そういうのって後続のチャリダーに結構ヒントになったりするのです。改善案を思い付くとか、覚悟とかいう形で。それに詳しい道中は既に多くのサイクリストによって分析・公開されているので不要かと。
暗雲立ち込める |
すぐに晴れたが、晴れると風はさらに強くなった |
アロタから20km先の岩場で起床。風は止んだろうか?…いや、強い。昨日から全く止んでいない。ふらつきながら、どうにかこうにか進む。砂埃・砂嵐・急傾斜・未舗装の辛い道。
何の変哲も無い分岐。不安をそそる |
25km進んだところで風が止み、宝石の道への分岐っぽいところでそれらしい方向へ進入。いきなりの深砂攻撃。転んでたまるかと退けると、次なるは4300m地点への約100mアップ。これを深砂・がれ場のコンビネーションで襲ってくる。走れない。しかしこの道で合ってるのかな?
「でもジープが降りて来てるな。この道で合ってるっぽい…?」
がれ場急傾斜 |
コルゲーション |
宝石の道INを半分確信してともかくは押す、押して登っていく。ようやく下りかと思うとがれ場。大きな石ころを避けつつも自転車がガッタンガッタン音を出す、ダメージ感満載の道。
「俺の愛車は1991年製のオールドフレームだから、未舗装悪路が一番怖いな。折れないことを祈る」
以降は深砂・がれ場・コルゲーションのペダリング3重苦に喘ぎながら14km進んでLaguna Cañapaに到着。(ちなみにコルゲーションの道は英語ではWash board road 洗濯板と呼ばれています)
進んでいると続々とジープと遭遇。「Todo bien? (オールオッケー?)」や「Quieres agua? (水欲しいか?)」など応援をされました。これによりここが宝石の道であると100%確信。
Laguna Cañapa |
フラミンゴ沢山 |
「ふぅ、着いた。さすが、欧米人サイクリストでもこの道の苦労を知ると自動車でチリ国境までワープする道なだけあるわな。この後は4900m半ばまで上るみたいだし、気合入れないと乗り切れまい。いやむしろ頑張らないほうが良いかも」
「取り敢えず風除けのできそうな建物があるな、行ってみよう。…う~ん、何か臭いし、ゴミ溜めになってる。どうやらここはトイレとゴミ捨て場らしい」
「ん?向こうに石組みらしいものが見えるな。あれ使えるかも」
西風が結構強くてですね、台風並み一歩手前くらいなのです。走っていると時たま追い風になるのですが、未舗装悪路で追い風って勘弁して欲しい。そんなにスピード出せないし、出したら危ないので、吹くなら向かい風の方が都合いいかもしれない、宝石の道とはそういう道です。
テントを張ってウッドガスストーブ用の薪集め、そして明るい内に調理を開始しました。
「明日どこまで行こうかな。そもそもどこまで行けるのか分からん。ここまでの道中の路面から察するに、あまり走れまいな。常に風除けを探しつつ、風が強くなって走行不可になり次第すぐにテントに逃げるとしようか。あまり長く粘っても疲れるだけだ。水もたくさんあるし、のんびり着実に行くのが良いだろう」
走行距離: 40km
積算走行距離: 17887km
積算走行距離: 17887km
【11日: Day 2, 延々続く緩い上り坂砂漠で野宿】
ガソリンストーブの調子が悪くて朝飯の準備に時間がかかりました。ちょろちょろとした弱火でしか火を維持できなくなっています。
ガソリンストーブの調子が悪くて朝飯の準備に時間がかかりました。ちょろちょろとした弱火でしか火を維持できなくなっています。
「やっぱり薪のほうが確実か。もうドラゴンフライは寿命だな。弱火でも火を出せるうちは使うとしよう」
「ウッドガスストーブは悪くないが、もっと長く、目に見える火は出なくても調理可能なくらいの熱は保って欲しいな。サン・ペドロ・デ・アタカマに着いたら木炭買うか」
ラグーナルートを走っているということで、今日は湖をより多く見れるはず。キツめの深砂にタイヤを取られて立ち止まり、コルゲーションでスピードが出ず、がれ場で跳ねてダメージが蓄積されていきます。
Laguna Hedihonda |
エディオンダ湖にはホテルがある |
「時速6kmか。10km以上で走らせてくれんなぁ…こりゃ長い」
イメージとしては100m毎に趣の異なった路面を提供してくれます。深砂を少し走らされ、終わったと思ったらコルゲーション。これも終わったと思ったら今度は深砂とがれ場のコンビネーション。そしてまたコルゲーションをぶっ込んでくる。そして10時頃になると強い西風による砂埃と砂嵐が追加。
「今日はそれに登坂も追加か。緩い長い砂漠の上り坂。もう走れん(-_-;)、山陰に石組み無いかな…」
Laguna Honda |
砂漠 |
砂漠に付けられた車の轍は深いサンドスロープ。冬季オリンピックに見られる雪製ハーフパイプの砂版と言った具合。横幅は30cmくらい。この横幅では自転車運転時のふらつきを受けられない。左右に少しでもふらつくと、タイヤが砂の壁に触れてめり込み、走行停止。コケそうになる、と言うかコケました、何度も。
さらにこのサンドスロープは車線変更のために横断しようとすることへの障害となる。スロープ両脇は砂の山。重たい自転車で越えようとすると砂にめり込んで動かなくなるし、踏ん張る足も砂に埋まる。暖簾に腕押し。
「これは、笑うしかないな。笑」
山側にサンドスロープを全力をかけて横断中、ツアージープが私の前に停車。応援してくれるわ、水くれるわ、キャンディくれるわで感謝。こういうの嬉しい。この間、車が風除けになっていて砂嵐を防いでくれてもいました。突風の作る砂嵐は当たると痛いんですよね。
どうにかこうにか山麓に来ると狙い通り石組みがありました。私はこれに更に石を積み上げ、壁を動かして広さも増しました。今日はまだ午後2時ですが終了。テントが飛ばされないようにインナーテント内に重めの荷物を放り込んでからポールを張る。バタバタとうるさいテント内で昼寝。夕飯用の薪集めをして、いつものようにスマホ麻雀を楽しむ。
「明日はホテルまで行ってテント泊だな。何か安くまともな食事をできるなら、したいところだ」
走行距離: 28km
積算走行距離: 17915km
積算走行距離: 17915km
【12日: Day 3, Hotel tayka el desiertoで無料宿泊】
バラクラバをして寝たが、息が苦しい。薄い生地でも、僅かな呼吸の妨げが、標高の高いところでは苦しい。でも寒いから被るしかない |
朝は無風になる。ちょろ火のストーブで米を炊き、7時半頃出発。それにしても深夜の寒さったら物凄い。結構着増しているのになお寒い。
長い長い砂漠の上り坂。舗装路なら時速15kmでも走れそうなくらい緩いものの、深砂とコルゲーションのコンビネーションの前では全くスピードが出ません。まぁ深砂を越えるにはコルゲーションがあったほうがいい。コルゲーションは少し固めでタイヤを取られないので、深砂エリアにあっても走行を継続できる。
「走って上れない急坂は押して上るけれども、しかし凄く息が切れる。何せ標高4000越えの道だもんな。力も出ないし回復も遅い。どんなにお菓子でエナジー補給をしていても、酸素が薄いんじゃ活用されず、意味無いな」
でもお菓子は辛い中にあっての唯一のオアシス。精神を保つのに役立つのです。
Hotel tayka el desierto |
Hotel tayka el desiertoに着くと昼の12時半。ここにテントで泊まらせてほしいと告げると、交渉相手の女性は「端っこのあの部屋を使って」と言う。
「あれ?テント泊無理だったのか…」
と思ったので1泊幾らか聞くと「サイクリストからお金は貰わない。ゆっくり休んでね」との有り難いお言葉。部屋に行くとドミトリーになっていて、通常のお客用ではない、警備員や運転手などの関係客用の部屋でした。
「いや、有り難い。無料で宿泊できるとは。しかも寒くない、ベッドで眠れる」
ホテル奥は食堂になっていて、小さな売店もありました。コーラを買ったら「軽食をセットで20ボリにするけど、食べるかい?ほら、座って座って」と言うので頂くことにしました。コーラにスープ、パン、肉じゃがみたいなもの。まともな食事。有り難い。
「さて明日はどこまで行こうか。Arbol de Piedraというランドマークが30km弱先にあるみたいだからそこまで頑張りたいな」
走行距離: 20km
積算走行距離: 17935km
積算走行距離: 17935km
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