427~430日目【ペルー】Ica (イカ)へ 危機一髪の海岸野宿 砂漠のオアシス・ワカチナで砂丘に登る

2015年8月10日~13日
南米後半戦開始!野宿慣れをするために、野宿主体の走行に切り替える。危機一髪の不気味な海岸野宿。逃げる。

natsukiさんとお宿桜子お客さん達と (車道走行の安全のために蛍光ベストを着用し始めた)

 リマ以降は南米後半戦です。これから先は野宿の機会が嫌でも増えます。と言うよりも、野宿のほうが色々都合よくスケジュールを立てやすくなるコースです。ボリビア入ると特にね。もちろんパタゴニアも。そこでこれからは鬼野宿敢行です。野宿を第一に考え、慣れていくことにします。

【10日: 冬季休業中の砂浜にて野宿】

 慣れ親しみ、長く滞在し、良い体験をできたお宿桜子での滞在。こういう所から出発するということは、普通のチャリダーは億劫で体が重くなりますが、私の場合グアテマラのタカハウスで2度経験しているので、最早悟りの境地。後ろ髪惹かれる思いの欠片なく、準備と別れの挨拶をしてスンナリ出発。

相変わらず曇っている

リマから50kmくらい走ったところ…と思う。ナスカまで400km

 パンアメリカンハイウェイを走ってリマを脱出し、スイスイ進むことChicama (チカマ)まで。この町の消防署を頼りにしていましたが、小さくてショボい。こりゃダメだと諦めて先へ進み、冬季休業中の砂浜を発見。

人っ子ひとりいない。ここでいいんじゃないか?


 人っ子ひとりいない砂浜には、シーズンには賑わっているであろう閉鎖されたレストランが多数。本日はこのレストランの脇にてテント泊をしました。

 夕食はカレーうどんとパン、ナポレターナコーヒー。就寝中にはテント内にゴキブリ侵入の惨事。網戸を張って寝ているので、その前からいつの間にやら入り込んでいたようです。パトカーの見回りが来ましたが、私のテントは素通りで何も言われず。

走行距離: 91km
積算走行距離: 15214km


【11日: 漁師の海岸にて野宿】

 朝7時に走り始めました。朝食はオートミールとミカン。オートミールは粉ミルクと蜜、水を加えて混ぜたあとしばらく放置で食べられます。加熱するともっと美味しいですが、私は野宿の場合長居したくないので、片付けに時間の掛かる火を使わない。凍える寒さなら別ですが。

 砂丘の道のため上ったり降りたりしんどい…。50kmほど走るとセロ・アスルという町に着きましたが、通過。野宿場所を探して走り続けました。

走行開始から54km地点。セロ・アスル近郊

 4日でイカという目標があったので、今日の内にチンチャアルタという大きめの街の近くまで行きたい。キツい体に鞭打ってジリジリと辛抱しながら99km走って手頃な海岸発見。今日はここでいいだろう。

漁師小屋近くにて。真夜中に別の場所へ移動

 どこに張ろうかウロウロしていると、遠くの小屋から手招きで呼ばれたので行くことに。そこは漁師小屋で、ペルー人漁師3人と、この辺りに4年も住んでいるという赤ら顔の白人男性がいました。ウェルカムな雰囲気だったのでここにテントを張りましたが、この白人男性がヤバかった。

 この男。こちらの返答の余地ないくらい一方的に話しまくってくるし「Si~si~si~.」「Disculpeme.」などを多用してウザい。とにかくウザい。ウザすぎる。それに話している最中ずっとまばたきしない。風強めの海岸で目が乾燥しないのだろうか?

 それに問いが愚問で「ここには何泊するんだ?2泊?3泊?」…テント泊でどうしてこんな海岸に数日滞在するのよ。するわけ無いでしょ。何か色んな意味でおかしい、この人。ひと通り話し終えるとこの男は一旦家に帰って行きました。

 夜中。晩飯調理中にも訪ねてきて、あ~また来たよとウンザリ。先程と同じく意味の分からん話を延々と話しまくってきました。何なんだコイツは…しかもライト持たずにこの真っ暗な海岸をよくも歩いてきたな。怖いわ。それにこちとらカレー調理中だよ。カレーマイブーム中の俺が一番集中せなあかん時やねん!味付け中にあんたの話は邪魔だ、はよ帰れ!あ~もう、白飯に砂が入っちまったよ。珍しくイライラする。

 そして話の最後にはこう言ってきた…

「5ソル貸してくれないか。近くの店で水買うから。明日返すから」

 そうきましたか、こりゃヤバイわ。(直感が警告を出している)

「俺金持ってないよ。だからキャンプしてんだよ (No tengo dinero, por eso yo hago camping.)」

 このセリフを聞いて諦めたのか奴は帰りましたが、「明日また来るよ」と一言置いていきました。こういう状況下でのこの一言は怖い。さてとにかく…

 逃げよう、撤収だ撤収!急げ!調理し終わったカレーをこぼれないようにパッキングして、真っ暗な中ライト1つでテントをたたみ、海岸をウロウロ迷いつつもどうにか幹線道路へ。街路灯の無い車道を車のライトをあてにして出来る限り遠くへ行って別の場所でキャンプ。

 これでどうにか一晩難を逃れたのでした。場合によっては就寝を見計らって襲撃を受けたかもしれないし、間一髪と理解しておきましょう。色々言葉が乱れましたが、あの時思ったことを正直に書きました。砂の入ったジャリジャリした食感のカレーライスは食べる気が失せますね。

走行距離: 99km
積算走行距離: 15313km


【12日: 砂漠にて野宿】

 昨晩のこともあり早々に出発。海岸線の朝はとても冷え込んでいて寒い。朝日の暖かさを感じる頃にはチンチャアルタに到着していたのでした。

 この街には用はないし、あの男のいるエリアから少しでも遠くへ行きたい。次の大きな街のピスコまで急ぎました。敵のいるエリアには長居しないのがゴルゴ13流の危険回避術。

砂嵐発生。実は写真撮影場所も砂嵐の中

 砂漠地帯の走行となって以降、緩やかに標高を上げていきます。時折キツめの上りもあって疲弊著しい。走行距離も80kmを超えてきたし、そろそろ野営地を探そうか。


 ヤシの木と草の生えた絶好の場所を発見。奥まった場所にテントを張りましたが、毎度砂の上を自転車を押して歩くのは辛い。深砂にタイヤをとられた自転車ほど捨てたくなる荷物はありませんね。

何か足りないカレー

 カレーライスを食べながら見る満天の星空は最高でした。

走行距離: 85km
積算走行距離: 15398km


【13日: イカ近郊のオアシス・ワカチナにてホステル泊】

 砂漠の朝は寒い。曇天と向かい風の中、朝7時に出発してイカを目指しました。それにしても起床した時の体の重さったら半端ないもので、ペルー沿岸部のアップダウンは緩めなものの長ったらしくて、疲労の蓄積が凄い。

1000km先のタクナはチリとの国境の町

 難無くイカに辿り着くと、大型スーパーに立ち寄ってMandarina (ミカン)とパン、Avena (オートミール)を買ってからワカチナという砂漠のオアシスへ向かいました。イカから5kmほどにあって近いし、市街より静かだろうし、オアシスというのはどういうものか興味があったため。




 ワカチナはサンドバギーやサンドスキーを楽しめる場所として欧米人パッカーに人気の所。でもこんな疲労著しい時にやってられないし、2泊できる余裕があれば別ですが、6日でナスカという目標の都合もあって、バギーはしませんでした。でもそれじゃなんだからということで、代わりに砂丘だけは登っておきました。でもよくよく考えてみれば、砂丘に登るほうが疲れるのではないか?

砂丘は思っている以上に大きい。砂に足をとられて登りにくい。砂漠で遭難した時の苦労の一部分を経験しただけでも、遭難時の脱出は不可能と分かる

ワカチナ全景

背後には広大な砂漠が

 明日から2日間でナスカに到着予定。セスナ機で地上絵観覧ということはせずに、ナスカからアバンカイへの6日間のために買い出しをするのと、疲労の回復に専念します。今の私は見るものに興味が薄くて花より団子状態なので、お腹いっぱいになりたい。

走行距離: 45km
積算走行距離: 15443km

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