MSRドラゴンフライの構造と扱いが分かってきたので、以下に記します。いざ調理という時に火がつかなくなるピンチがあったら参考に。
MSRドラゴンフライはガソリンストーブのひとつで、多様な燃料の使用が可能ですが、原則としてホワイトガソリンの使用が推奨されています。
ところがホワイトガソリンは先進的なアウトドアショップでないと入手は案外難しいものです。またホワイトガソリンは価格的に少々高額で、反して有鉛ガソリンはガススタンドで格安購入&容易に入手可能なことから、自転車旅行者は有鉛ガソリンをよく用いることになります。
ガソリンを用いる以上、ススが出ます。このススこそがストーブを故障に導く最大の原因です。機器内の諸々にススが付いていると、ガソリンの供給を阻害し、燃焼を不安定にするのです。
ドラゴンフライは「燃焼に必要な燃料の供給がされていれば、継続燃焼する」のであるから、「燃料の通り道にこびり付いたススを落とす」ことで、改善します。このことを構造と共によく熟知し、以下の4つのメンテナンスを行えば、必ず安定した燃焼を得られるでしょう。
※各部名称は付属の取り扱い説明書を参照のこと
【1. フレームアジャスターバルブアセンブリーのスス除去】
ホワイトガソリンよりも有鉛ガソリンを使ったほうがススのこびり付きが起こりやすいことが分かりました。特にフレームアジャスターバルブアセンブリーの先端3~4cmのあたりにこびり付くのです。これをナイフなどを使って削り落としてやります。
スス除去前 |
スス除去後 |
【2. フレームアジャスターパイプ内のスス除去】
盲点はフレームアジャスターパイプの内壁。バルブアセンブリーを挿入した際に抵抗を感じたならススがこびり付いているため、メンテナンスを行います。バルブアセンブリーのネジ山を使ってパイプ内壁のススを削り落とす要領で、バルブアセンブリーをパイプ内に出し入れして内壁と擦り合わせます。
結構ススが取れます |
【3. ジェットのクリーニング】
もし、写真の様にフレームアジャスターパイプ内に空気を送り込んで、ジェットから出てこない場合は、ジェットがススで詰まっていますので、清掃ワイヤーでジェットの穴をクリーニングします。ここに目詰まりが起きていると、燃焼に必要な燃料の供給が不十分となり、燃焼が不安定あるいは停止します。
燃料パイプフィルターを塞ぎ |
パイプから空気を吹き込む |
ジェットから空気が出てくる |
ジェットから空気が出てこない場合は、清掃ワイヤーで穴を清掃する |
【4. 燃料パイプフィルターのチェック・交換】
上記3つのメンテナンスをしたにもかかわらず燃焼不良の場合は、依然として燃料の供給が不十分であると考えられます。その主な原因は燃料パイプフィルターの目詰まり。新しいフィルターに交換してやると上手くいくことがほとんどです。
あるいは、アウトローな方法ですが、メンテナンスキットにある安全ピンを使ってフィルターの真ん中に穴を空けてみます。これで燃料の通りが若干良くなるので、上手く燃焼してくれるかもしれません。おそらくフィルター無しでは燃料がタンクから圧力を持って勢いよく送り込まれるために上手くいかないでしょう。フィルターが勢いを受け止め、燃料の不純物を除くため、故障の確率が下がると考えられます。
フィルターが黒く汚れてくると目詰まりしてきたということ。アウトローは目詰まりしたら穴を空ける |