44日目【アメリカ】パイウート貯水池キャンプ場へ 死神が見えた日 水が無い!どうする…

2014年7月23日

干上がった川

 先ず、死ななくて良かったということ。ひらめきが無ければ、翌朝はとても危険な状態にあり、生死を問わず今頃は病院にいたでしょう。

 ひらめきですよ。これこそ諸々の不運を払拭し、死神を遠ざけたのだと思います。そしてキャンプ場の立地も幸運だった。とても幸運だった。

サライナのバッチカシディキャンプ場を出ました。自炊で腹を満たして、水や食料を軽くして臨みました。と言うのも、連日の厳しい走行で疲弊しているため少しでも楽に走りたいということ、そして今日はモーテルに泊まると決めていたからです。

 サライナを出る時に自転車旅行者に会いました。軽く挨拶して別れましたが、居ますねぇ。こんな何も無い所にも。

 道は89号線を行きますが、インターステートハイウェイと重なっていて通れないため、側道のローカル道を進みます。

 相変わらずの炎天下と向かい風。この日はこれに加えてRoad Workが2度続いてストレスでした。そこでリッチフィールドやモンローといった町を通過する度に炭酸飲料でリフレッシュ。

 地図を見るとSevier (サビー)という所でちょうど走行距離が60㎞程になるため、そこで走行を終えようとモーテルを探しましたが何もありません。ザビーには89号線のジャンクションしかありませんでした。名前の出る場所には大抵町があるものですが、ここには民家があるだけ。

 仕方ないのでインターステートハイウェイと離れた89号線で次の町マリーズベール (Marysvale)を目指しました。


 この街へ至る山道はほぼ平坦で、途中までサイクリングロードがあります。サイクリングロードの終わりにモーテルがあったので、ここで良いかとオフィスを探しましたが見当たらず。マリーズベールまであと少しだし、まぁいいかと先へ。

 肝心のマリーズベール。もう疲れが限界で気持ちが切れています。モーテルが2、3軒ありますが、Close。どういう事だ。泊まる所が無い。ここから10数キロの所にあるパイウート貯水池の湖畔にユタ州経営のキャンプ場がある。何とかそこを目指すしかない。

 最小ギアでしか転がせない体力の上に、向かい風は強いし、日差しもキツイし、おまけに結構なアップダウンときた。根負けしまくって度々休み、ボウっとする。意識が遠のきそうだ。

 どうにかキャンプ場 (8ドル)に着きましたが、施設はトイレのみで息をしたくないほど臭く、深砂で走れず、テントサイトは石ごろごろで最悪。少し動けば息切れする中で石をどかし、何とかテントを張って、寝転がる。もう動きたくない。こんな中を98㎞も走ってきたから。

 しかし暑く、汗が吹き出し水を飲むが、もう水が無い。日の入りまであと数時間あるし、日の入り後に気温が下がるまでにもさらに数時間かかる。

 自炊をして何か食べるにも水が要る。自炊無しで食える物はクッキーと食パンだが、乾燥した空気でカサカサで、口に入れて咀嚼しても飲み込めない。

 翌朝まで持たない。そう直感が警告している。絶体絶命。

 いや待て。落ち着け。ここは貯水池湖畔だったな。貯水池の水しかない。起きろ!水を汲んで来い。それしかない。水汲みに全力をかけるしかないぞ!

少し濁っている
別のコンテナにタオルで濾し入れる

 フラフラしながら水汲にいく。あぁ、思いの外遠い…。2.5リットル汲んできて、この水をタオルで濾して大きなゴミを取り除く。後はMSR Mioxで浄化してやれば30分で飲料水になる。

 水を得られるという事実から少し元気が出ました。この水で少しお粥状にしたコメを炊きました。疲れていて食べるのも億劫で、休みながら食べて腹に詰め込みました。チャイティーも沸かして、これにカサカサになった食パンを浸して食べ、クッキーは咀嚼後、紅茶で胃袋に流し込みました。

 一命を取り留めたと言っていいでしょう。九死に一生を得ました。寝袋に包まる頃には意識はシッカリしてきました。後は翌朝どのような身体の状態か…

積算走行距離: 3442㎞

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