自転車旅行のブレーキの選び方


まず、ブレーキにはデュアルピボット・Vブレーキ・カンチブレーキ・ディスクブレーキの4種類があります。

ロードバイクに使われているデュアルピボットは2インチサイズの太いタイヤは使えないため、キャンプを予定した装備の重い自転車旅行には不向きです。そこで従来ブレーキはVブレーキかカンチブレーキのどちらかを選んでいました。最新の傾向としてはディスクブレーキが主流になりつつあります。


【Vブレーキ】
リムブレーキを使うなら、重い車体を確実にコントロールするにはVブレーキが優れています。制動力の強さは下り坂で重宝し、雨天走行においても効きが強めです。これはテコの原理でリムへ強い圧力を掛けられるためです。

ブレーキシューは雨天走行では早く削れる点と、ブレーキの利き具合はリムとブレーキシューとの相性に依ることがある点が注意です。


【カンチブレーキ】
泥詰まりが多い場合はカンチブレーキが有効です。未舗装路では雨天走行時に泥詰まりが起こりやすく、ホイールとドライブトレインが泥だらけになります。

カンチブレーキには2種類あり、ひとつは横への張り出しの小さいロープロファイル。もうひとつは張り出しの大きいワイドプロファイルです。

個人的にはシマノのCX70・CX50に見られるようなロープロファイルをオススメします。ペダリングにおいて、ワイドプロファイルは踵が干渉することがあるからです。

シマノのCXシリーズのカンチブレーキは、新SLRというものを導入しているようで、対応のブレーキレバーと組み合わせると、Vブレーキと大差無い制動を得られます。


【リムブレーキの問題点】
リムが磨耗します。ブレーキを掛ける度にリムの側壁が削れ、薄くなるとタイヤの空気圧に耐えられず破断するのです。特に雨天走行では制動力が落ちることで、晴天時の走行に比べてより強くレバーを握るためにリムへの圧力も強くなりますので、リムだけでなくシューの摩耗も早くなります。


【機械式ディスクブレーキを使う】

機械式のディスクブレーキならリムの摩耗は気にせずにいられます。ディスクとパッドの予備を持てばよいだけです。ディスクブレーキには機械式と油圧がありますが、油圧は車体をさかさまにできなかったり、ケーブル内に気泡が入るとブレーキが利かなくなるなどメンテナンス上の不利があるので、機械式をおすすめします。ただ、効き具合は当然油圧のほうがいい。

自転車旅行だと雨ざらしでメンテナンスを頻繁にしないので、劣化しやすい点が注意です。このことはどのブレーキでも言えることではありますが、買い替えの点からしてディスクブレーキは高価になります。ただそれ以上に利点のほうがあるように思えますが。

自分の自転車に取り付けが可能か、規格のチェックを必ずしたほうが良い。


【シマノ製が良い】
旅行中のパーツの入手性を考えるとコンポーネントはシマノで統一したほうがいいのと、仕上がりと操作性と耐久性など、他メーカーより圧倒的に信頼できます。世界で一番流通しているコンポーネントメーカーですからね。

特にブレーキは運転者の力量で制動力が上がるわけではなく、完全にブレーキの性能次第なので、他のコンポーネントが低グレードでも、ブレーキだけは良いものを使ってください。


【おすすめのブレーキ】
Vブレーキは基本はDeoreで十分と思います。XTクラスのものは予算との兼ね合いで。ただ、入手性が良いのは安いタイプですが。



カンチブレーキはシクロクロス車で使われるBR-CX50で良いと思います。私はこれを使いましたが、よっぽどの急傾斜の下りでなければ特に問題はありませんでした。



ディスクブレーキは基本Deoreで、SLX、XTクラスは予算との兼ね合いで。Vブレーキと同様、入手性が良いのは安いタイプ。




【ブレーキシューの種類】
大まかに分けてブロックとカートリッジがあります。シュー交換のしやすさはカートリッジと言われますし、持ち運びもコンパクトで軽い。ただ、入手性の良さと価格からブロックタイプでも全然問題ないです。

自転車旅行のハンドルバーの選び方


ハンドルバーは多種多様です。ドロップハンドルにはシャロー・アナトミックという形があります。フラットバーでもストレート・ライザーバーがあります。

扱う点で考えれば、扱いやすさは人それぞれだからいろいろな形のものがあるのだと思います。

伝統的な旅行車にはドロップハンドルが使われます。MTB主流の現代の旅行車はフラットバーが増えています。変わりどころで人気があるのはバタフライハンドルとブルホーンバーです。特性を見てみましょう。


【ドロップハンドル】
ドロップハンドルは加速や登坂で体への引き付けができ、踏み込みをしやすいです。持ち手は主に3つあり、ブレーキブラケット・下ハンドル・肩です。

前傾をとれますがロードレースで有効な空気抵抗の軽減の効き目は、荷物を積んだ自転車旅行では意味がありません。

持ち手の数による姿勢の変化は、自転車旅行では実は期待するほど疲労軽減に役立ちません。なぜなら、疲れたら休めばいいからです。ロードレースではないので休む暇がないとか、乗りながら休むとかが必要というわけではありません。

自転車旅行でドロップハンドルを使う一番の理由は、踏み込みの力を出しやすいことです。ストップアンドゴーが多い街中では力の無駄と脚への負担を小さくでき、他のハンドルバーよりも疲労の軽減をもたらします。

また登坂では引き付けが大きな助けになります。海外の道は想像以上のアップダウンが基本だからです。特に山脈内の道は。

見た目のカッコ良さでは一番ではないでしょうか?あくまで私の主観ではありますが。


【フラットバー】
フラットバーは楽な姿勢で呼吸がしやすく、視野を広く保てます。ブレーキを強くかけやすいです。

持ち手はグリップの1ヶ所だけです。ブレーキレバーとシフターをつけるのでコンピュータ等のアクセサリー類を取り付けるスペースが狭くなります。手首が横になる、甲が上になると引き付けに難があるため、ドロップハンドルより不利です。

この不利を補うにはバーエンドを取り付けることです。ハンドルの両端に取り付けるのが標準ですが、DHハンドルのようにハンドル中央部に取り付けると、引き付けの効果が増します。ただ、この方法はマニアックでオススメしません。それにハンドルバーバッグの邪魔になります。

バーエンドはなるべく長めのもの。自分の手のひらの幅くらいの長さがあると握りやすいです。

未舗装路での操作性はフラットバーが一番かなと思います。


【バタフライハンドル(蝶ハンドル)】
バタフライハンドルはドロップハンドルとフラットバーの両特性を備えています。

持ち手が多い、引き付けができる、前傾をとれるし楽な姿勢もできます。握る箇所は手前・奥・横と自在で、バランスの良いハンドルです。世界の自転車旅行者たちの主流ハンドルです。

特殊な形状のため敬遠されますが、大きな不利はありません。欠点は格好悪いことくらいです。欧米サイクリストの間では人気上昇中です。


【ブルホーンバー】
ブルホーンバーは簡単に言えば、ドロップハンドルから下ハンドルを取り除いたものです。ハンドル形状が攻撃的な角の様です。

自転車旅行ではドロップの下ハンドルはあまり使わないので、ブルホーンバーを使うのがおすすめです。

ブレーキレバーの設置位置は2か所考えられて、ひとつは角の先にTTバイクに使われるエアロレバーを付けるか、もうひとつはステムとの接合部付近にMTB用のショートリーチレバーかギトネットレバーを取り付けるかです。

重い車体を扱う都合上ブレーキレバーを強く握りしめることがそこそこあるので、エアロレバーはこの点からして不利だと思います。ギトネットは使ったことがないので何とも言えませんが、MTBレバーを使うのが一番かと思います。

自転車旅行では走行中は主に肩の部分に手を置くなどしてアップライトに前傾を浅くして乗ることが多いと思いますし、その近くにブレーキレバーを配置したほうが良いでしょう。


【まとめ】
ドロップハンドルとバタフライハンドルは雨天走行によるバーテープの傷みが難点です。ニスで強化する方法があります。コットンバーテープを二重に巻いて、ニスを染み込ませていくものです。ウレタンニスなら雨にも強くできるでしょう。

フラットバーのグリップにはエルゴングリップのように手の平を支えるものがあります。手を置きやすくオススメです。

どのハンドルバーにせよ疲労は必ず生じますが、疲れたら休めばいいと考えてください。

引き付けか、楽な姿勢か、バランスか。どの特性を重視するかでしょうね。ただ、特性は第二です。積載された旅行車はふらつきます。オフロード走行や、ガタガタの舗装路走行を見込んで、自分が一番扱いやすいと感じるかが第一です。

ハンドルバーはあまり高価なものを買う必要はないと思います。

【近況報告】1級時計修理技能士になっています【仕事・趣味・旅行】

もう自転車旅行から帰ってきて8年半も経つとは驚きで早すぎると思うし、一方で旅の記憶は少しずつ薄らいできており、この点で年月の経過を感じる。 だからこうしてブログとか、Youtubeに旅の様子を残してきて良かったなと思う。苦しいことばかりだったと思うが、今ではいい思い出。 さて現在...